1974年青森県弘前市生まれ、東目屋中学校の吹奏楽部よりトランペットを始める。弘前工業高校 建築学科卒業(吹奏楽部在籍)後、埼玉県南埼玉郡宮代町の日本工業大学建築科に入学。大学のサークルBark Jazz Passionでビッグバンドを始める。
日本工業大学卒業後、建築会社に3年間勤務後退社。2000年に自己のバンドDream Swing Kingdomを結成。
2001年に「埼玉県ビッグバンド連盟」を発足。2001年「埼玉県ビッグバンド連盟コンサート」を大宮ソニックシティで開催。
2004年に「さいたま新都心JAZZDAY」を開催。また2006年「JAZZDAYかすかべ」を始め近隣のJAZZイベントの開催に携わる。
2021年より「さいたまJAZZフェスティバル」を開催。さいたま新都心けやきひろばでの「Love Jazz Time」も毎月開催している。本業は2004年に設立した、建築会社「株式会社DSK」代表取締役。
今や「さいたま新都心はJAZZの街」というキャッチフレーズがぴったりなほど、首都圏有数のイベントとなった「さいたま新都心JAZZDAY」。第1回のさいたま新都心JAZZDAYがどんな雰囲気だったのか教えてください。
2004年の第1回目は「さいたま新都心JAZZDAY」という名称で、けやきひろば内2つの会場で15時から20時までの開催でした。
たくさんのバンドに出てもらえるように、各バンド入れ替え込みの30分を持ち時間としたのですが、イベントの知名度が無いことや埼玉県内にアマチュアのビッグバンドが少なかったことなどがあり、演奏に参加してくれるバンドが少なくて・・・。
結果、2日間出演するバンドや、JAMセッション、YAMAHAイベントコーナーなどを追加したり、演奏枠を埋めるのが大変でしたね。15時から20時までの開催でしたし。でも、参加バンドがみんな仲良しなので、文化祭みたいな感じで楽しかったですね。
当然、ゲストバンドの参加も無く、来場者もそれほど多くなかったです。
波乱の幕開けとなった第1回を経て、今年で延べ出演者数700団体を超えるJAZZDAYも20回目です。何か強く印象に残っているエピソードや思い出を教えてください。
やっぱり第1回目ですね。すごく個人的なお話なのですが、第1回目は2004年9月25・26日に開催となったのですが、諸々準備を進めている中、実は9月3日に入院してしまったんです。そこでお医者さんから「1ヵ月の入院となります。」って言われてしまいました。
治療を進める中、お医者さんに事情を説明し、色々検査をしてもらった結果・・・9/25の朝に退院。その日の10時開始の参加者説明会に駆け付けました。完全には体力が回復していない状態でしたが、無事に2日間20時までやり遂げました。第1回目からものすごいハプニングだったのですごく印象に残っています。
当時、一緒に企画した連盟のメンバーもお見舞いに来てくれて、病院で打合せしていたのが強く印象に残っていますね。
その他、天候に振り回されたのも、印象に残っていますね。1日目は雨天で2日目は快晴とか。
中には雨天プログラムスタートから、イベント途中で会場を晴天会場のサンクンプラザに移す、雷注意報が出て一時中断する、なんてこともありました。
20回目に至るまで色々なエピソードや思い出があったのですね。そんな歴史のある「さいたま新都心JAZZDAY」の楽しみ方を教えてください。
2022年より「さいたま新都心JAZZDAY」では、さいたま新都心駅を中心に東西6会場にステージを設け、特色のあるバンドが演奏を繰り広げられます。各会場に特徴がありますので会場毎に説明してみますね。
けやきひろばサンクンプラザ(A会場)は、さいたまスーパーアリーナを展望できるステージです。ビッグバンド演奏をメインとした大迫力の演奏が楽しめます。
けやきひろば1Fプラザ(B会場)は、近代的なフォルムと飲食店等に囲まれた吹抜けの開放感のあるステージです。スモールバンド演奏をメインとしたお洒落な演奏が楽しめます。
駅前自由通路(C会場)は、日常的に見慣れている改札前風景に突如と現れた非日常的なJazzステージです。日常と非日常を織り交ぜた会場でスモールバンド生演奏を贅沢に楽しんでください。
東口デッキ(D会場)は、ニューオリンズのバーボンストリートのように「日常に音楽が溶け込んでいる」感覚にさせられるステージです。日常の通り道がビッグバンド演奏家のステージになっています。
コクーンプラザ(E会場)は、飲食店等に囲まれた、円形の吹抜けが特徴のステージです。スモールバンドの演奏を中心に、贅沢なJazzの生演奏をお楽しみください。
コクーンひろば(F会場)は、コクーン2をバックにそびえたつクリスマスツリーが配置された素敵なステージです。ここでは様々な編成のバンドの演奏を楽しむことができます。
上記の6会場の特色のあるステージを、下記ステージタイムスケジュール※を参考にお目当てのバンドの演奏を、さいたま新都心の素敵な風景と一緒に楽しんで欲しいですね。
※タイムスケジュールはこちらです!
11月1日(土)プログラム – さいたま新都心JAZZDAYオフィシャルホームページ
11月2日(日)プログラム – さいたま新都心JAZZDAYオフィシャルホームページ
皆さんが気軽に楽しめるJAZZDAYの発起人である成田さん。その成田さんとJAZZとの出会い(関心を持ったきっかけ)、プレイヤーとしてのスタイルを教えてください。
これは、話が長くなりますよ~(笑)成田の思いをぶちまけますね。
まず、トランペットとの出会いが中学校の吹奏楽部だったのですが、特に吹奏楽部に入りたかった訳ではなく、野球部と吹奏楽部の2択だったので運動に苦手意識のあった自分としては、仕方なく吹奏楽部に入部したという感じでした。トランペットを選んだきっかけは、性格が暗かった自分を少しでも変えたくて、明るい音のトランペットで目立ちたいという思いで選びましたね。
吹奏楽部では、クラシック寄りの楽曲を演奏することが多く、その当時の自分には演奏の楽しさが分からなかったのですが、中学校3年生の時に一人で自宅に帰宅してTVのスイッチを入れ、流れてきた音楽に引きこまれました。マリオネット(糸操り人形)ダンスのBGMとして流れてきたのがグレン・ミラー楽団のイン・ザ・ムードでした。躍動感のあるサックスのリフに、呼応するブラスセクション。そしてトランペットの華やかなソロ。
学校での嫌なこと、部活動での嫌な事、人間関係の嫌な事、すべてが吹き飛び心が躍りました。「音楽ってこんな力があるんだ」と初めて感じた瞬間ですね。
高校も吹奏楽部に入部しましたが、書店で買った1,000円のグレン・ミラーのCDを毎日のように聞いて通学していました。その後、大学進学を機にビッグバンド部に入部し、Swing
Jazzを演奏する楽しさを学びました。
そして大学卒業後、社会人となり、2000年4月に演奏に対する姿勢が変わる大事件がおきるのです(笑)。
それは、なんとなく声を掛けられた喫茶店での演奏依頼が始まりでした。そのお店は駅からお祭り会場への通り道に面している場所に立地し、お祭り会場へ徒歩で向かう人にとって休憩所的に営業している喫茶店でした。そのお店の屋外テラス席でのJazz演奏依頼だったのです。屋外テラスでは場所が狭くスモールバンドの演奏となり、アドリブソロがメイン。さらに演奏はお店を利用しない通行人にも丸聞こえです。アドリブソロは全然得意ではなかったのですが、「聴いている人もお祭りがメインだし、Jazzは知らないだろうし、なんとなく音を出していれば何とかなるかな」という思いで演奏しました。案の定、自分の演奏はとても褒められたものではなく、演奏が終わった後には「やっぱりやらなきゃよかったな」とステージ横のスペースで休憩していた時です。
「ちょっとあなた達、すごく良かったよ!!」と、とある女性が声を掛けてくれたのです。その方は、ご夫婦でお祭りを目的に来ていたそうなのですが、パートナーの方がJazz好きらしく音が聴こえるから、と連れられて立ち寄ったとの事でした。
自分からはパートナーの方の姿は見えなかったのですが、その女性は「私はJazzのことは分からないけど、みんな楽しそうに演奏してて、すごくこっちまで元気になったよ。生きる希望が湧いたよ!」と興奮しながら話してくれました。生きる希望って大げさだな~っと心の中で思いながら、その女性の話を聞いていたのですが「実は、私は大病を患って手術したんだけど・・・それ以来、気力を失っていて・・・そしたら夫がお祭りに誘ってくれて・・・。みんなの演奏聞いたら、希望が湧いてきたよ。本当にありがとう!」と力強く握手をしながらおっしゃってくれました。自分は自分自身に対して恥ずかしいのと、嬉しいのと、申し訳ないのと色んな感情が沸いてきて涙が出てしまいました。。。
決して上手じゃないかもしれないけど、アマチュアであっても楽しい演奏ができれば、通りすがりの人の人生を変えるほどの力がJazzにはあるんだ。
中学校3年のあのTVでのイン・ザ・ムードで元気をもらった自分のように、誰かに元気を与えられるようなJazzイベントのスイッチを入れたい。
そしてみんなが元気になるJazzを届けたい。
それが、成田の音楽人生のプレイスタイルです。
成田さんのように、JAZZを通じて色々な出会いや気づきがあると思います。これからJAZZを始めようとしている方、一生懸命日々の練習に励んでいる方、JAZZは興味があるけど、敷居が高そう、という方に対してそれぞれメッセージをお願いします。
自分はトランペットの演奏家とかではないのですが・・・。
でも、自分が考えるには、上手や下手とかは、関係なく楽器を手に取ってみて、少しでもメロディーが吹けるようになったら、誰かに聞いてもらうのが一番上達の早道かもしれないですね。
ちゃんと演奏できないと恥ずかしいのですが、恥をかくのもまた上達への道という感じですね。
大事なことは自分の演奏した音に気持ちや感情が表れているかどうかだと思います。
決して難しいフレーズを演奏しなくても、高音を出さなくても、感情がある音というのはひとつの音でも音楽になると考えています。
そのあたりの自由さがJazzのいいとこかも!
音楽はまさに無形の財産ですね。最後に、成田さんにとって「JAZZ」とは?
自分にとってJAZZは、人生を180度変えてくれた存在です。よく言う「人生そのもの」とういう感じよりも「自分そのもの」って感じです。トランペットを演奏していない自分は、もはや「成田孝満」ではない気がします(笑)。 絶対切り離せない自分の分身ですね。
そして自分を変えてくれた「JAZZ」を通じて、沢山の人を元気にしたいと思う気持ちが自分のパワーの源です。